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~ ある青年の物語 後編 ~

そうして一年が巡り、パーキンスが休暇を取る時期になった。彼が戻るまで、そこは私の家になった。ある日、年配の男が訪ねて来た。男は私を鋭く見つめた。すぐにあの権力を握る男が入って来ると、年配の男は彼を傍に呼んだ。彼らの会話を断片的にだが聞いた。「パーキンスの机にいるこの男は誰だ?」年配の男が尋ねた。権力を握る男が私の名を告げた。「面白い、彼の事を聞いたことが無かったな。」はっと男は息をのんだ。その後は声のトーンを抑えて話されたので何も聞こえなかった。その夜、私の居間にあの権力を握る男がやって来た。「やぁ、」彼は話し始めた。「君とは現場かどこかで確か会ってるね。僕はずっと、あの方の被後見人か行方知れずだった親類かと考えていた。今日、彼が君の事を知らずにあの部屋に来て飛び上がってたね。勿論君は問題にしなかったろうが、すごく居心地の悪い場にしてしまったな。」「何か問題でも?私が仕事でミスしたとか?」「そんなことは言ってないが、まあその質問は置いといて。何がどうしてこんな事に。君のことを皆よく知らないのに、どうやってこの仕事の重役に就けたんだ?君の事を教えてくれないか、どうだい?」「1881年、アイオワの陽気で小さな炭鉱業の町で、私は貧しくも誠実な両親の下に生まれました。父は手押し車で魚を売り歩き、母は私が1~1才半の時に亡くなり・・・」「ちょっと待って。君に関わりのある者、若しくはバックアップしている者を教えてくれ。昔の事は飛ばして、誰が君に職を与えたんだ?」私はモーリスの革張りの椅子で反り返り、丁度一年前、あの面白みの無い日の記憶を思い出した。そしてそれは、私に名刺を貰ったことも思い出させた。その瞬間までそんなことは考えもしなかった。私は立ち上がり、クローゼットの中から波乱の日を過ごしたあのスーツを取り出し、着てみた。私が"目覚めた"記念品として、これは残しておいたのだ。期待してた通り、みすぼらしいベストのポケットに、あの名刺が入っていた。初めて私はそこに刻まれた名を読んだ。

マシュー モリソン ランドルフ証券

私はその名刺を男に手渡した。彼は不思議そうな目でそれを読んだ。今、ランドルフは物言わぬ"ビジネスパートナー"だった。信じられない偶然だと、あなたは思うかもしれない。しかしそれは、成功は不可能だと信じる人々だ。そんな彼らにとっては、成功とは不可能であるということ。そしてたぶん、あなたもこんなことは起こりえないと思うだろう。しかしこれは実際に起きてることなのだ。「おかしなやつだランドルフ、君の名をあの方に言ってなかったとはね。とにかく、これをあの方と話してる時に知っていれば良かったな。」「知らなくて良かったですよ。」私は軽く笑いつつ答えた。「何故だい?」男は混乱して尋ねた。「電話してくださいランドルフさん。あの方がその答えを教えてくれると思いますよ。」「しかしな、」と彼が言葉を続けるのを遮り、「電話しましょう。そうして欲しいのです。」と私は押し通した。そうしてすぐにランドルフは電話を掛けた。「さあ、尋ねてください。」そして彼は尋ねた。私は彼の表情が変わっていくのを見ていた。「あなたは、この男の名を聞いたことが無いですって!」彼は息をのんだ。「何故です?彼は現場の最高責任者ですよ!?」「私が話した方が良さそうですね、ランドルフさん。」私は話しを止めた。彼は手を震わせながら受話器をくれた。「ランドルフさん、あなたは私の名を覚えていなかったでしょう。確かあなたは、私の名を聞かなかったのですから。しかし一年前、乞食のような男が食べ物を求めてきた日のことは覚えてるでしょう。」「続けて、」歯切れのいい声が受話器の方から聴こえた。「あなたも恐らく、その乞食が必要なものは食べ物ではないと言ったことを覚えているでしょう。それは"ある何か"だけであると。ランドルフさん、私はあなたと話し、そしてその"ある何か"を見付けた乞食ですよ。私はそれを使う術を学びました。そしてあなたに、道を示してくれたお礼を言いたかったのです、その機会があった時に。」

今あなたが聞いているこの話しは、一時間のうちに奇妙な三人組に伝えられたものだ。権力者、学者、そしてマシュー モリソン ランドルフ。私が話す物語に、ランドルフは納得したように頷き。そして小さな学者の目が妙に光りだすのに気が付いた。話しを終えた時、私たちは長いこと黙り込んでいた。ついにランドルフが「では今、君が考える"ある何か"とは実際何なのかを教えてくれないか?」私は弱弱しく頷いた。「皆さんも、私と同じくそれをご存知です。しかし私は一つのことを確信しました。それは、現在の電気製品と同じ位現実的な人間の力というものです。精神的な力、魂という機関の燃料。それは、私たちが魂に宿る"ある何か"に気付くまでに不可欠なもの。私たちは、見出した"ある何か"へ我々の身体を導くんです。あとは私たちが肉体をその"マスター"へと導くんです。全ての魂に潜む"ある何か"が目覚めるまで。その多くは、最後の眠りにつくまで眠ったままです。時には、人が死の淵に立つまでそれは起きません。なのに時には、母の膝で遊んでいる子供に見出されもします。人の成功は唯一、その人の魂に在る"ある何か"次第なのです。アブラハム・リンカーンは若くしてそれを見付けました。それは彼が横になって勉強していた、冷たい床を温めたのです。それは彼が本を読めるよう、ちらついた火の光を山火事の如く明るくしました。それは彼の心を大いに弾ませたのです。"ある何か"とは、凄まじい力です。それはちっぽけなコルシカ人を、世界の覇者にしました!それは薄っぺらいイカサマ帳簿係を、大国の大富豪にしました!それはエジソンを時代の英雄としました!それはカーネギーを鉄鋼王にし、ウッドロー・ウィルソンやフランクリン・ルーズベルトを大統領にしました!それはあなたを創っているんです!それは今、あなたの魂に在るんです!今こそそれに気付く時です!"ある何か"に!

またもや沈黙が続いた。私が学者を見ると、彼の目は徐々に死んで行くようだった。彼は衝撃を受け、疲れ切っているようでもあった。「いや、そんなこと出来ないよ。そんなこと出来ない。」彼はそう呟いた。「僕は人生というカップを殆ど飲んでしまい、今は僅かに残ったのを飲んでいる。カップは一度だけ満たされたけど、失った分はもう戻らない。あとは老いと貧しさだけがあるのさ。」「バカ野郎、」そう言ってランドルフが泣いていた。彼は身を乗り出し、学者の小男を荒々しく揺すった。「あんたは殆ど"ある何か"を手に入れたようなもんじゃないか。なのに今、あんたはそれを自分のバカげた悲観的な歌で眠らせようとしている。それは何世紀もの間、人々が掘り進んで行った誤った考えだよ。目覚めるんだ、さあ目覚めろ!あんたの魂に在る、"ある何か"と共に目覚めるんだ!」二人は互いの目を深く見つめ合っていた。小男が沈黙を破った。「ありがとう、ランドルフ。」彼は心からそう告げた。「君の言うとおりだ。"そうするよ"。」そしてランドルフが私の方へ振り向いた。「なあ、僕たちにしてくれた話しを本に書いてくれ。書いてくれれば人々はそれを読むだろう。世界にそのメッセージを送るんだ。もし人々がそれを記憶に刻み込むまで読んで、読み返せば、或いはもし君のメッセージを人々が信じ、そして彼らの魂の中に眠っているそれに気付けば・・・そうだな、もし君が人々をその事に目覚めさせることが出来れば、君は人類に対して、何千もの人間が何年も何年も掛けてやってきた以上のことを成し遂げるだろう。書いてくれ、ここで君が話してくれた言葉そのままに、全ての人がそれを読むだろう。書いてくれ。なあ、それを書いてくれ。」


そして私は、それを書いたのだ。


この話しを聞き終えたあなたが、あなたの内に在る"ある何か"に目覚めるまで、何度も何度もその全ての言葉を繰り返し聞くことを。そして、世界を統治する一人と成ることを願っている。



おしまい








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「闇を憂うより、一本のキャンドルに明かりを灯す方が良い。アイデアを掴めば、あとはおのずとついて来る!」

 By B.J.Palmer












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磯部 博文(ISOBE HIROFUMI)

Author:磯部 博文(ISOBE HIROFUMI)
米国のSherman College of Chiropracticへの進学を目指し、プレカイロ課程を履修中。

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